okeiの思考ブログ

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『沈黙』

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スウェーデンの巨匠イングマール・ベルイマン脚本・監督の1963年作品。

ずっと観たかった作品でレンタルにも無かったので円盤📀買おうか悩んでたらFilmarksのフォロワーさんからU-NEXTで動画配信されてるとの情報をいただき、去年これの為にU-NEXTに入会しました。

観てまず感じたことは…ベルイマン監督の代表作『ペルソナ』に次いで傑作と確信。

極度にセリフを削ぎ落とした演出にチクタクと時計の針のような効果音が印象的であり、更にそのチクタクが微妙に早いのでとても不安な気持ちにさせられる。

そして撮影担当ニクヴィストのカメラアングルが非常に痺れる。特に主演女優のグンネルリンドブロムの妖艶さが際立つ撮り方。舐めるようなカメラワーク。彼女の首から鎖骨にかけての汗の輝きや、鏡越しに映し出された彼女の目線や唇がモノクロに艶めかしく映える。

翻訳家で賢い姉にコンプレックスを抱く奔放な妹。いや、もしかしたら姉の方が本能のまま性に自由に生きる妹にコンプレックスを抱いているのかもしれない。タイプが真逆の姉妹。

列車を途中下車し病弱な姉の療養の為に立ち寄ったホテルで長年の姉妹の確執が露わになってゆく。と同時に姉の死への恐怖とどうしようもない姉妹の孤独感がジワジワと浸食してゆく。

そんな漠然とした大人達の不安を感じとるのは、妹の子供の視点である。血縁関係にあるもの同士のいざこざを目の当たりにした時程、居心地の悪いものはない。私も母方の姉妹達が仲が悪かったので子供の頃似たような経験をしたことがある。

居心地の悪い空間…居心地の悪い時間…中立的立場の少年はただただ沈黙し、ただ傍観することしかできない。

また、妹が異国のゆきずりの男に(よかった…あなたと言葉が通じなくて)と言うシーンがある。相手の男の感情は全く見えてこない無なのである。一言も喋らぬその男は、まるでオブジェのようにさえ見えてくる。姉への感情が爆発する中、その男もまた沈黙を貫く。

難解と言われている本作の解釈。神の沈黙とも考察されることが多い沈黙の意味。私はそのように捉えました。

 

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