『サンライズ』
1927年
アメリカ映画
監督F・W・ムルナウ
本作『サンライズ』は死ぬまでに観たい映画1001本という本に選出されています。フランソワ・トリュフォーが「世界一美しい映画」と賞賛したという。レンタル無し。念願だったこの作品、最近やっと観ることができました。
とにかく素晴らしいの一言。
トーキー時代にまさに突入しようとしていたこの1927年。ドイツのムルナウがハリウッドに招かれて撮った第一作目であり、あえてサイレントで撮った作品。
まず見終わった後真っ先に感じたのは、今まで観てきたサイレント映画と一線を課すこと。めくるめく映像マジック。移動撮影による臨場感、俳優達の表現力、芸術的観点からもパーフェクト。
ストーリーの複雑さは全く無く、いたって単純な物語。都会の嫌〜な女が田舎の農夫を誘惑、妻殺しをそそのかす。農夫は寸前のところで思いとどまるも、恐怖で怯えた妻の信頼を失ってしまう。妻はしばらくの間嘆き哀しむも、ひたすら謝り改心した様子の夫との間に再び愛を取り戻す。
夫役のジョージオブライエンもさることながら、妻役のジャネットゲイナーの表現力が素晴らしい。見るからに健気で優しく初々しく可愛いらしい妻。夫の様子がおかしいことに気を揉む姿や、一瞬一瞬の心の移り変わりの演技が見事。
彼女は第一回目のアカデミー主演女優賞を獲得しました。歴史的一歩を垣間見た気がしました。